06月30日 「コーヒー付きタイヤ 」

助手席の窓から にゅ〜っと缶コーヒーが出てきた。
いや、缶コーヒーを持った手が出てきた。
あるところまで出ると その手は回転をはじめた。
すごい早さである。回転はますます加速し、いきなり手首から先が分離して 血を撒きながら かなたへ飛んでいった。わきゃない。
半回転したその手に握られていた缶コーヒーから、じょろじょろじょろと 音を立ててコーヒーがアスファルトに流れ落ちた。
その横へ信号待ちのため 俺のバイクが停まった。
見つめ合う目と目。は、一瞬で避けられた。
しかし、コーヒーは止まらない。
最後まで出し切ったコーヒー缶を 申し訳なさそうに、しかし、俺は悪くないって言いたそうな感じで その助手席の人物は 車に引っ込めた。
そして、顔が見えないように背もたれを倒して、足を某堀田のようにダッシュボードに乗っけた。
多分この人は 気が弱いんだろうなあ。ちょっと 正義感があるんだろうなあ。でも、こういう事をして ちょっと 自分が悪だ！ってことを 言いたいんだろうなあ〜。でも、こういう事をまったく悪びれずにできるような 本当の悪には なれないんだろうなあ〜。
とか いろいろ 考えながら シグナルダッシュをするのだった。


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2000/06/30(FRI) 15:54

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